この記事を簡単に言うと
・「温泉に入ると病気にならない」のまとめ。

・温泉が人の体に与える影響について、解説。



「温泉に入ると病気にならない」という本を読み終えたので、その内容をまとめていきたいきますね。
9784569776460
以下、本書で気になった引用しながらまとめていきます。

【医者の温泉好き】 単なる「気分転換」ではない

戦後60年、日本人は西洋医療に依存し過ぎたのではないでしょうか。
「病気になったら病院に行けばいい」という安易な健康に対する意識、病院依存体質が、今日の医療を取り巻く深刻な状況の原因の1つになっている気がしてならないのです。

健康(肉体的だけでなく精神的にも)は幸福で平和な生活へのパスポートです。
病院に行かなくてもいい健康な心身は、お医者さんではなく、私たち自身の責任でしっかりコントロールしなければならない事を自覚する必要があります。

【温泉が“いい”理由】 重要なのは「温熱効果」

体を温めるだけなら、わざわざ温泉い行くまでもない、家庭の風呂で十分だろう、と考える人もいるでしょうね。
しかし、温泉と家庭風呂とでは、その温熱効果に大変な差があります。

“ホンモノ”の温泉は私たちの細胞を活性化してくれる「還元力」のある“生きたお湯”なので、体が温まりやすく、かつ冷めにくい。
一方、家庭の風呂の水道水には温泉のように濃厚な成分が含まれてなく、また殺菌のための塩素が入っているため体温が上がりにくい。
塩素は体に好ましくない物質ですから、なるべく除去したい。
そこで私たちの体は体温を下げることで、その有毒な物質が体内に回りにくくするため、血の流れがそれほど活発にならないようにして侵入を防御しようとするわけです。

もちろん、温熱効果は別にしても、水道水に含まれた塩素そのものが健康に好ましくないというのはいうまでもありません。
その意味でも、温泉の方が家庭風呂よりはるかに体にいい。

【免疫力を高める】 発熱は自然治癒力の証

がん細胞は体温が35℃の時に最も活発化し、増殖のスペースを加速させることがわかっています。
体温が低いほど、がんが広がりやすいのです。

ですから、特に若い人の、肉と油脂まみれの食品を中心としたアメリカ流の食生活や、シャワーしか浴びないことなどが原因と思われる“低体温化”がわが国で急増するがんの1つの要因と考える専門家が増えてきました。

がん細胞は43℃以上で死滅すると言われています。
その為、よく知られているがんの温熱療法は、43℃以上に加温してがん細胞を死滅させようとするものです。

この方法は日本人が江戸時代以降“湯治”によって行ってきたことですよね。
ですから、戦後の国を挙げて西洋医学依存症候群の呪縛から解放させることが健康体を作る第一歩である気がします。

【シャワー文化の罪】 肩までつかって解毒する

本来、日本人にとって風呂は
・くつろぎの場所(精神再生の場)
・体を温め血行をよくする場(肉体的再生の場)
つまり、免疫力を高める場であったはずです。

欧米流のシャワー文化がすっかり浸透した結果、このような感覚は失われてしまった気がします。
シャワーがあれば、いちいち浴槽にお湯を張ってつからなくても、体を綺麗に洗い流すことができます。

それが日常化したために、「風呂では体を温め心身の疲れをとる」ことの意味を日本人は忘れてしまいました。
効率を求めるあまり、健康を失ったのです。

シャワーは表面の汚れは流せても、代謝は活発にならないので、血液中の老廃物は排出されません。
若い女性の間で流行しているデトックス(解毒・浄化)にはつながらないわけです。

温泉につかると、成分が体内に取り込まれることはよく知られています。
ところが体内の、つまり血液中の老廃物が汗とともにお湯の中に排泄されることはあまり理解されていません。

シャワーではすでに皮膚の表面に出ている汗などの老廃物が流されるだけで、温熱効果によって代謝が活発することはないので、不十分ということになります。

もちろん全身の血行がよくなるということは、解毒作用が働くだけでなく、栄養分が血液によって運ばれながら全身の細胞に行きわたるということですね。
病気の予防に欠かせないもののはずです。

【日本人の低体温化】 平熱35℃は「生命力の低下」

現代の解熱剤や鎮痛剤に代表される対症療法により、たしかに昔より早く病気やケガが治るようになりました。
その代わり、人間の生命力がどんどん衰えているようです。
薬物依存体質がその大きな原因の1つであることは間違いないでしょう。

人間の体は37℃台まで体温が上がると自然治癒力を発揮します。
ですから一般に平熱は高い方が有利だといえます。
風邪をひいたとき、できるだけ早く体温(内臓温度)が37℃まで上がった方が、ウィルスに対応できるからです。

【湯治の本質とは】 温泉地で散歩をする理由

“湯治”というと、お湯につかるだけが保養の手段というイメージが強いでしょうが、温泉地ではそれ以外にも、体のために大切なことがあります。
それは“散歩”ウォーキングです。
江戸時代から、温泉地の保養にはウォーキングがつきものでした。

熱海で湯治を行った徳川家康や諸大名にしても、ただ湯につかっていただけではなく、浜にでて漁師が網をあげるのを見物したり、足を延ばして伊豆山湯権現を見物に行ったり、神社仏閣を訪ね歩いたりなど、積極的に歩いていたという記録が残っています。

現代人も、温泉い行けば周辺の山や川や海などの景色を楽しみながら散策する人が多いのではないでしょうか。
これは単なる暇つぶしや観光ではありません。
そのつもりで散歩をしている人もいると思いますが、本来そこには積極的な保養上の意味があります。
適度な運動をすることで、下半身の筋肉に熱をもち、温泉に入ることで高まった体温を維持することができるからです。
全身の筋肉の70%が腰から下にあります。

ただし温泉は湯につかるだけでも相当な体力を使いますので、運動量はそのことを考えながら調節する必要があります。
入浴中は「体を温める状態」だと思いがちですが、じっと5分温泉につかっているだけで、その消費カロリーは5分の縄跳びとほとんど変わりないのです。

【入浴と免疫力】 白血球数・働きを適正に

金沢医科大学の山口教授(血清学)は、1泊2日の温泉旅行で3回入浴するだけで4キロのウォーキングと同じ効果、つまり免疫力が高まることを裏付けるデータを発表しています。
温泉旅行程度の温泉浴でも、免疫機能を担う白血球数や働きが適正な数値に調整されるというのです。

この免疫力に対する効果は、温泉に入った直後だけでは終わりません。
1泊2日のふつうの温泉旅行で得られた免疫力が、ほぼ1週間、持続されたのが確認されたのです。
これこそが、私たちの先人が習わしとしてきた湯治が“予防医学”としての意義を持っている証拠と言っていいでしょう。

このような事は昔から、日本人は“経験温泉学”的に知っていたわけです。
それが現代医学によってあらためて証明されたと言えます。
“湯治”はまぎれもなく日本の文化なのですが、戦後遅れたもの、気休めなどのまちがった評価がなされてきたことはとても残念なことです。

民族の伝統的な文化を否定して、西洋医学一辺倒になった結果の一つが、年間の医療費が34兆円の現代の日本の姿なのです。
まさに薬づけ列島が心と体をがん細胞のようにむしばんでいます。


【温泉の入り方①】 風呂上り直後にビールは×

「風呂上り直後に冷たいビール」は〇か×か
このパターンが大好きな団塊の世代は多いのですが、答えは当然のことながら×です。
せっかく温めた体を体内から急激に冷やしてしまったのでは台無しになると思ってください。

瞬間的な爽快感を味わうのは若いうちで十分。
肉体的な健康が真の爽快感につながると考えられる分別のある団塊の世代は、単純化した思考回路を見直してみてはいかがでしょうか。

ただ、これは冷えたビールを飲んではいけないということではありません。
風呂上り直後は控えましょうということです。

【温泉の入り方②】 長湯せずに何度もつかる

江戸時代の温泉医学者は、その指南書の中で「風呂で汗を出すな」と書いています。
あつ湯に我慢していつまでもつからないで、額にちょっと汗がにじむくらいになったら、湯船からあがる。
それを繰り返す。
温泉浴は意外に体力を消耗するものですから、それくらいが丁度良いわけです。

私の場合、風呂場には50分ほどいますが、その間に最低4、5回は湯船に入ったり出たりを繰り返します。
体調を整える時には回数があと1、2回は増えます。

最初はしっかり下半身から上半身にかけて10杯以上かけ湯をします。
これから入る湯船の湯温に体を反応させた後、入浴前のエチケットを兼ねてのマナーです。
こうしたことをしないで、かといってシャワーで流すわけでもなく、そのまま湯船に入る人の実に多いこと。
男性の5人に2、3人は失格です。

【温泉の入り方③】 入浴後すぐに寝てはいけない

温泉の温熱効果を最大限に活かす為には、飲み物以外のことにも気を付けなければならないことがあります。

風呂から上がったあと、さっさと体をふいて脱衣所を出ないこと。
これをやると部屋に戻ってから汗が噴き出して、かえって体が冷えてしまいます。
また、水を飲めば飲むほど汗が出てきます。
水を飲む場合は、入浴前に冷たくない常温の飲み物をたっぷり飲むことがおすすめです。

加えてもう一つ、風呂からの上がり方について江戸時代の医学者が書いていることを紹介しましょう。
「風呂から上がったらすぐ寝るな」とういうものです。

これはどういう意味か。
風呂から上がって汗を出した後、私たちの体は毛穴の開いた状態になっています。
そこに外から冷たい空気が入り込みます。
しかも体が温まっていますから、布団をかけないで寝てしまうとになり、せっかく温まった体が冷えてしまい、下手をすれば免疫力を高めるどころか風邪を引くなど体調を崩して帰ることになりかねないわけです。

湯治は「温泉で健康になる」ものですが、ただ入ればいいというものではありません。
じつは、風呂からの「上がり方」が大切なのです。
お湯から出た後も含めて湯治なのだということを肝に銘じておいて欲しいと思います。

2泊3日の“プチ湯治”を年に2~4回実行に移せば、元気で豊かな第二の人生を送ることができるはずです。
本格的に1週間以上の湯治をする心の余裕のある人は、私に言わせるともう人生の勝利者でしょう。

【天然ではあるが…】 “化石海水”の掘削「温泉」も

“天然温泉”は「温泉法」で認定された温泉を称するものですが、自然に湧き出たものではなく、掘削によって人工的にくみあげたものです。
人工衛星を駆使した探査と2000m前後まで難なく掘る掘削技術により、現在では日本中どこでも掘れば温泉が出ると言われるほどです。

ですから、もともと温泉の痕跡すらなかった場所からくみあげた「温泉」は、日本人の頭の中にある温泉と別種のものである場合が少なくありません。
古代の昔、その場所が海の底だった時代に封印された“化石海水”と呼ばれる温かい水であることが大半です。

私たちの常識では、温泉とは何らかの濃厚な成分が含まれている温水のことを指しますが、1948年(昭和23年)に制定された「温泉」の定義の一つに、25℃以上あれば、成分の有無にかかわらず温泉とするとの条項があるのです。
100m地中を掘り下げると、2~3℃温度が上がります。
東京の平均気温は16℃前後ですから、500~600mも掘削すると、温泉法が認定する温泉が得られる可能性が高いというわけです。

つまり、地下を地球規模で循環している温泉とは違って、地下のたまり水(化石海水)にストローを差し込んで吸い出しているようなものなのです。

【公共温泉施設の裏側】 “かけ流し”裏切る「循環風呂」

地方自治体や都市部に続々と誕生した新興温泉の大半は湯量が少ないために、または得られる湯量より大きな風呂や露天風呂を作った為、本来の温泉で湯船を満たすのに半日も、施設によっては一日もかかってしまいます。
また湯船に湯を張った後も、湯口から新たに注ぐ量が少ないため、多くの人々が入浴するとたちまち湯が汚れてしまいます。

そこで登場したのが「循環風呂」です。
一時流行した一般家庭の24時間風呂と同じような原理です。
湯船にためた湯を毎日捨てずに何日も、施設によっては数か月から半年以上も使います、ゾッとするようなシステムです。
湯船の湯をろ過器に通して髪の毛やゴミなどを取り除き、ボイラーで加熱した後、ふたたび湯船に戻す仕組みになっています。
まさにお湯が大量に“循環”するわけです。

ですが、私たち利用者側からすると、なんとも清潔とは言い難いシステムです。
1日に数百人もの赤の他人が入浴する湯を、数週間から施設によっては数か月も使い回しているわけですから、感覚的にもキレイとは思えませんし、率直に言ってこれを温泉と呼んでよいものかと疑問に思ってしまいます。



【正しい温泉選び①】 リスクの大きい塩素入り温泉

日本の温泉施設の約70%は同じ湯を何度も、施設によっては1ヵ月も2ヶ月も使いまわすなんともおぞましいシステムなのです。
これだと浴槽からお湯が減ることはありませんから、少ないお湯でも大きな浴槽をいくつもつくることができます。
しかも湯口から大量のお湯が注ぎ、いかにも湯量豊富な温泉施設であるかのように入浴客を錯覚させることが可能です。

もちろん、時には水道水を加えることもあります。
温泉を何日も使い回しにしてると、温泉のにおいは飛んでしまいますから、水道水でかなり湯量を増やしても、温泉気分に浮かれている人々に気付かれることはほとんどありません。

ただ、循環風呂ですと、いくらろ過し髪の毛や汚れを除去しても、入浴者の目に見えない老廃物がお湯に刷り込まれ、大腸菌やレジオネラ菌などで汚染され危険です。

温泉の生命線は“鮮度”、つまり湧き立てに尽きます。
温泉は湧出後、酸化されることにより変化します。
同じ温泉を何日も使いまわすということは、空気にふれますから、それだけ酸化が進むということです。
その上、塩素系薬剤を混入することは、魚を日なたに置いて、あえて腐らせるような行為です。

酸化とは、生もので言えば腐った状態、クギで言えばさびた状態です。
そのような温泉に入っては元気が出るどころか、リスクの方が大きくなるばかりです。

【正しい温泉選び②】 「マガイモノ」を生む温泉法

戦国時代から、温泉利用税としての入湯税が徴収されています。
基本的には各自治体の自由裁量に委ねられていますが、日帰り入浴では70~100円、宿泊では150円が相場のようです。

平成になって全国各地で誕生した市町村営、いわゆる“公共温泉”は、この入湯税を見込んだものと言っていいでしょう。

残念なことは、そのほとんどが酸化された“塩素泉”を提供する“マガイモノ温泉”なのです。
この種の温泉と称するものが入湯税を徴収する根拠はどこにあるのか、温泉学を専門とする私でも良く分かりません。

こうした温泉の湯質は家庭風呂よりもはるかに劣る場合が多いです。
安全・安心度も家庭風呂の方が上でしょう。
広い風呂、豪華な施設では、税を徴収する根拠にはならないでしょうし、それなら銭湯やスーパー銭湯はどうなのか?この話まで発展するに違いありません。

困ったことに私たち市民の多く、特にお年寄りと家族連れがこの種のマガイモノ温泉の一番の顧客であることです。
弱者こそがせっせと入湯税を払って水道水を沸かした家族風呂より質の劣る湯につかされ“温泉気分”にひたらされているのが、温泉列島の光景の1つの側面であることは間違いありません。

その最もたる原因は、1948年(昭和23年)に施行された「温泉法」です。
脱衣所に掲示されている「温泉分析書」には、温泉の成分表や効能などが記されていますが、それは温泉湧出点のものであって、私たちが入る浴槽の温泉ではないのです。
循環・ろ過・塩素殺菌された温泉の成分は当然著しく変化しますが、「温泉法」はそのことには目をつぶっています。

つまり、浴槽の温泉の泉質を保証していないのです。

【正しい温泉選び③】 スポイト一滴でも「天然温泉」

私たちが脱衣所で脱ぎながら眺める「温泉分析書」のカラクリを、もう少し具体的に説明しましょう。

泉質名、温度、成分表、効能などが記載された「温泉分析書」は本来、天然温泉というか“ホンモノの温泉”のお墨付き書ですから、これが掲示されていると入浴者は安心します。
ところが、この分析書に記載されている内容は、これから入浴する浴槽の内容と必ずしも一致しません。
塩素殺菌された循環風呂では化学変化を起こしますから、温泉水そのものが変質してしまっています。

「何のために『温泉分析書』を掲示しているの?」

それは、それらしく見せかけ、入湯税を徴収するため。
としか答えられないのが正直なところでしょう。

「スポイト1滴温泉」は決して非現実的なものでないことがはっきりしました。
国は2007年5月に温泉法施行規則の一部を改訂。
温泉に関しては、加水、加温など4項目についての情報を公開するように事業者に義務づけたのです。

一番の問題は、「温泉法」が加水を認めた点です。
しかも、「加水」の事実とその理由さえ開示すれば、何%加水しようともOKなのです。
これは、加水率の開示を求めてないからです。
だから、例え99%水を加えていても、「加水しています」と掲示すれば「天然温泉」と名乗れるのです。

温度が高いために10%加水している施設、湯量が足りない為に90%加水している施設の差を無視してしまっているのです。
一番の犠牲者は、家庭や銭湯の真水と大差のない温泉もどきのお湯を、入湯税を払ってまで知らずに入っている消費者でしょう。

これが「スポイト1滴の温泉」の実態なのです。

【正しい温泉選び④】 ホンモノ示す“源泉率”

温泉は単なる温かい水ではないことは誰にでも分かります。
家族風呂や銭湯とは違って成分が含まれているからこそ温泉だということを、日本人なら誰しも認識しています。
ところが、「温泉法」が認定する温泉の条件の1つに、先にも述べましたが成分の有無に関わらず「25℃以上」であれば温泉という条項があるのです。

私たちが温泉に期待する成分が加水によって薄まってしまっては、温泉の意味もないし、入湯税を徴収する根拠もないと考えるのはごく自然のことです。
ですから、「源泉100%掛け流し」が温泉のあるべき姿です。

温泉王国・日本には相当に成分が濃くて、なかには加水してから入浴した方がいい温泉があります。
ガンの進行を抑えたり、遅らせる療養として脚光を浴びている玉川温泉(秋田県)なども、その1つです。
初心者は半分自然水で割った(源泉率50%)温泉につかります。
刺激が強いためです。
慣れるにしたがい、源泉率100%の湯につかるのです。

【正しい温泉選び⑤】 “レジオネラ菌風呂”の恐怖

レシオネラ菌はもともと自然界の土壌や淡水などに生息している菌ですが、増殖した菌を吸いこむことで肺炎、あるいはインフルエンザに似た熱性疾患を引き起こします。
しかも最悪の場合、死に至るというのがレジオネラ菌の怖さです。

ただし、レジオネラ菌は常在菌ですから、致死量に至るまで菌を増殖させなければ問題は起きません。
しかし、土壌に生息しているので、スポーツをしたり素足で生活していると、私たちの身体に付着します。
そのまま風呂に入り、何日も風呂の湯を換水しないでいると、レジオネラ菌が増殖し、致死量に至る事もあります。

レジオネラ菌は、アメーバなどに寄生して増殖することが知られています。
また、20℃~40℃の状態に保たれた人工温泉中で増殖しやすいことから、殺菌や清掃がおろそかな循環風呂は格好の住処(すみか)となります。
そこに塩素系薬剤を使うなどして殺菌していないとなると、循環機や浴槽の中はレジオネラ菌だらけということになります。

【正しい温泉選び⑥】 お肌スベスベにだまされるな

たとえ塩素をきちんと入れ、循環設備をパーフェクトに使いこなしたとしても、お湯が綺麗になったとは言えません。
「最近できた温泉は、肌がツルツルして良く効きそうだ」などと思い込んでいるかもしれません。
しかし、これは実は他人の体から出た皮脂のせいということも十分にあり得るのです。
お湯の中に刷り込まれた皮脂などが、レジオネラ菌の栄養分となっているわけですから、誇張表現ではありません。

最近は光触媒や銀イオンなど、安全性の高い殺菌技術も一部で使われるようになっていますが、価格の安さや保健所の指導などもあって、圧倒的に塩素が投入されています。
これまで銭湯やプールで長い間使用されてきたことが影響しているのでしょうが、水道水とは違って温泉には様々な成分が含まれており、そうした含有成分と塩素の関係を無視したかなり非科学的な指導です。

人間が化学的に合成してつくった塩素は、様々な弊害をもたらすことが分かっています。
その強力な殺菌力が、太陽の紫外線に長時間さらされているのと同じような状態を作り出し、それが皮膚の老化を早めるというメカニズムです。
活性酸素を発生させるのも問題です。



【塩素について知る①】 “魔法の薬”という誤解も

水道水の塩素は、伝染病として恐れられているチフス菌やコレラ菌などを撲滅し、私たちの生活に多大な恩恵をもたらしてくれました。
殺菌・消毒効果共に、防腐・漂白効果のある“魔法の薬”とさえ認識されました。

一方で、人間が化学的に合成して作った塩素はまた、具体的に様々な弊害をもたらすことが分かってきました。
前にも述べましたが、その強力な殺菌力が、太陽の紫外線に長い間さらされているのと同じような状況を作り出し、それが皮膚の老化を早めるというメカニズムです。

コップ1杯の水に指を入れるとたちまち15万個前後の皮膚細胞が死ぬと言われています。
もっとも、若く再生力がある人はやがて回復しますが、同時に活性酸素を発生させることも知られています。

塩素と言えば誰もが思い出すのはプール。
ある年齢以上の方なら、学校のプールに黄色っぽい粉末が投入されるのを見た記憶があるでしょう。
あれが塩素。

「プールから上がったら、よく目を洗いなさい」と先生に言われたのは、塩素を洗い流すためでした。
調子にのって泳いでいるうちに、目が真っ赤になったり、体のあちこちがかゆくなった経験がある方も多いでしょう。

【塩素について知る②】 飲むより浴びる方が危険

塩素は人間の体にとって毒ですから、有害なものを全身に回さないようにするために血はよく流れません。
当然、体は冷えやすくなり、免疫力は弱くなります。

本来、水泳をすると健康になるはずです。
それがなぜ風邪を引きやすくなるのか。
プールに大量に入っている塩素が原因だと考える必要があります。

それは、水道水や銭湯、循環風呂の温泉の比ではない大量の塩素が使われているためです。
それというのも、一般に屋内プールの水を抜くのはおよそ4年に1回だからです。
水道料金、排水料金をケチり、その代り塩素を大量に入れて感染症を防いでいるのです。

このように長期間水を取り替えないでいると、ちょっとやそっとの塩素では効かない耐性菌が現れます。
ですから、さらに塩素の量をふやイタチごっこになります。
スイミングプールで指導員のアルバイトをしていた女子学生は、アルバイトをしている期間中はつねに水虫のようなものに悩まされるが、辞めると治ると話していました。
たぶん耐性菌がいたのでしょう。

アメリカの報告ではこう警告しています。
「シャワーや風呂を通して浴びる化学物質の量は、水道水を飲むよりも6~100倍多い。15分のシャワーを出して検査した結果、呼吸によって吸収される揮発性汚染物質の量は、1Lの水を飲んだ時に摂取される量と同じだった」

【塩素について知る③】 塩素ガス発生の危険も

一番風呂のお湯がピリピリするのは、塩素の刺激です。
二番目に入ると、一番目の人の全身に塩素が吸着した上、皮脂も溶けていますから柔らかいお湯を楽しむことができるわけです。

それでもただの入浴よりシャワーは3倍有害だという報告もあります。
「水でもお湯でも、シャワーから霧状になって出てきます。その結果、水道水の塩素濃度は約3倍に濃縮されるため、塩素の被害はさらに増大します。つまり、0.1ppmの塩素濃度で破壊される30万個の3倍、約100万個の細胞を破壊します。つまり、お風呂のお湯で洗髪する時より、シャワーを使う方が3倍も髪の毛を傷めてしまうのです。」

シャワーでまことしやかに語られているマイナスイオン効果よりも、私たちは塩素のリスクを考えるべきなのです。
特に、アトピー性皮膚炎の子どもを持つ母親のみなさんは留意しましょう。

【空間としての温泉】 ゆっくり心身をいやす場

温泉の湯煙は単なる湯気ではありません。
そこには硫黄やラジウムなどの成分も含まれており、だからこそ家庭の風呂や銭湯とは違う濃い湯煙になるのです。

温泉の効能というのは、肌から吸収されるだけでなく、成分を含んだ湯気を吸いこんでも得られるわけです。
塩素を使った循環風呂では、その効果は得られないばかりか、むしろ害になってしまいます。
濃厚な塩素ガスが充満しては危険なため、換気扇を付けて外に出しているのです。

シャワーというのは西洋の生活習慣です。
欧米社会のバスルームは「洗い流す文化」に支配された場ですから、汚れた体を綺麗にするにはシャワーであれば事足りるのです。
ホテルの浴槽が狭くて浅いのはその為です。
あれは汚れを洗い流すためのものであって、体をひたしてくつろぐためではありません。

一方、日本人は大昔から「つかる文化」を育んできました。
風呂場は単に体の汚れを洗うだけの場ではなく、ゆっくりとお湯につかって「心を洗う」場でもあります。

それが日本の風呂というものであり、温泉はそのハレのステージなのです。
そこに豊かな天然成分が含まれていることを考えれば、たしかに家庭の風呂よりも「心を清浄にする」のに適した場所だと言えるでしょう。

だとすると、そこに本来シャワーは必要ありません。
せっかく温泉に行ってまで、頭や体を洗う必要もないでしょう。
日常と同じではもったいなさすぎます。
ゆっくりと心ゆくまでつかり、心身を癒す空間、それが日本人にとっての温泉なのです。

【露天風呂の解放感】 塩素泉では“癒し”なし

実はオリンピックや国際大会で使用されるプールには、塩素消毒は行われていません。
塩素が大量に使われると、記録が伸びないからです。
塩素ガスが脳に悪い影響を与え、とくに長距離の場合疲れやすく、世界記録など望めないとのことです。

では、国際大会ではどのような方法で殺菌されているかというと、オゾンが用いられます。
ヨーロッパでは、水道水をオゾンで殺菌している国々が多いようです。
日本でもごく一部の都市でオゾンを使用した高度浄水処理が行われるようになりましたが、文化国家を自負しているのでしたら、生命の源である水のことをもっと考えなければならないでしょう。

公共温泉や新興温泉の大半は塩素泉ですから、そうした露天風呂に高い入浴料を払ってはいるくらいなら、家族風呂の方が塩素の害やレジオネラ菌に感染するリスクは少ないと言えます。

ジャグジー、ブラバスはもっと危険です。
噴出する泡を身体に浴びられるために、マッサージのようで気持ちいいのは分かりますが、浴槽が狭いので、入浴者の老廃物でお湯そのものが汚い。
その為、大量の塩素を入れるわけです。
その結果、全身に付着するだけでなく、泡ととおに立ちあがる塩素ガスを吸収することになり、肌にも脳にもダメージを与えてしまいます。




【家庭風呂の無害化①】 入浴剤を使うならホンモノを

家庭で使用する入浴剤は、合成された科学薬品ではなく、岩塩や炭酸の塊を粉末にした物がいいです。
岩塩は酸化された水道水を還元状態に戻す力を持っています。
白濁する硫黄分が少し含まれていて、それが還元力を備えています。
つまり、塩素で酸化されたお湯を無害化してくれるわけです。

特に敏感肌の人やホンモノ志向の人に気を付けて頂きたいのは、「〇〇の湯」などと釘打たれた、いかにも名湯気分を誘う入浴剤です。
一般に私達がいう入浴剤というのは、有名な温泉に似せて石油などで作られた化学製品、化学物質だということです。
色、香りなどがあって、温泉気分にひたることはできるかもしれまえんが、その大半が人工的な薬品だということを認識してください。

人工物ということは、ある人々にとっては毒でしかない場合もあるということです。
特に、アトピー性皮膚炎の人やお年寄りにとっては注意が必要です。

ハーブにしても、合成した化学薬品ではほんとうに私達に癒しを与えてくれていいるのか、得られる気分的なものではなく、マイナス面を合わせて考えなければなりません。



【家庭風呂の無害化②】 「浴槽に備長炭」で対策を

毎日のように入る家庭の風呂のお湯の塩素を無害化しないことには、自然治癒力の高い健康な生活が脅かされかねませんね。
ましてやこの厳しい世の中、シャワーで塩素ガスの含まれた湯煙を吸い込んでいては心も晴れません。

備長炭を購入し、数本の備長炭を洗濯ネットに入れて浴槽に沈めてみてください。
備長炭との混浴を楽しんでください。
もちろん、炭のにおいは多少しますが、自然のものなので無害です。
冷蔵庫に消臭用に使われるくらいなのですから。

備長炭は、塩素をはじめ大腸菌も吸収する磁石のようなものです。
しかし、炭からカルシウム、マグネシウム、カリウムなどのアルカリ性ミネラル成分が溶け出すため、お湯がアルカリ性に変わり、柔らかくなります。

備長炭は、1本の炭の中に無数の穴が開いていて、その中に微生物が棲んでいます。
その微生物が有害物質を食べてくれるというわけです。
表面にも塩素が付きますので、週に1、2度はタワシでこすって乾かしましょう。



【家庭風呂の無害化③】 炭で楽しむ“プチ温泉”

備長炭の持ち味は、塩素などの有害物質を除去するだけでなく、人間の体から出る菌を殺菌してくれることにもあります。

備長炭を入れたお風呂は、毎日お湯を抜くに越したことはありませんが、家族が少なくてお湯が腐らない夏以外の季節でしたら、1日おきでも大丈夫でしょう。
その時は、お風呂の中に備長炭を入れておけばいいのです。
残り湯を洗濯に使ってもかまいません。
菌のない状態できれいに洗い上がりますから、アトピー性皮膚炎の人にも優しいでしょう。

備長炭を入れた風呂がアルカリ性に変わることはすでに話しました。
pHで8.5~9程度のアルカリ性に変わるので、温泉で言えば立派な“美人の湯”“美肌の湯”なのです。
実際、備長炭風呂につかると、皮膚の角質が軟らかくなり、しっとりと潤います。
風呂から上がって汗が引いたら、保湿液などを塗ると潤いのある肌が保たれます。
また、炭からアルカリ性の塩、カリウムが溶け出すために保湿効果が得られます。

このように、塩素が無害化されて血行が良くなる上、保湿効果が高まり、しかも肌がしっとりと潤います。
交通費と宿泊料を払って循環風呂のような、マガイモノ温泉につかることを考えると、はるかに優れものの“プチ温泉”を家庭で楽しむことができるわけです。
実際、下手な温泉より、温泉の効能が得られると思いますよ。

次の問題は、洗髪などに使うシャワーです。
シャワーは今や風呂派にもかかせないツールです。
シャワーから出るお湯の塩素は、お風呂につかるよりも3倍有害です。

日本の残留塩素濃度は、欧米と比べて桁外れに高く、5~15倍とも言われます。
とりわけ、シャワーを通じた水は塩素濃度が高まりますので、私達の肌や髪の毛、さらに体内までダメージを与えることになります。
髪の毛のたんぱく質(キューティクル)が破壊されますので、茶髪になったり、髪のボリュームが減ったりします。

対策として、塩素を除去するシャワーヘッドと交換してください。
ちょっと高価な物になりますが、家庭の水道水が無害化される事を考えれば、そんなに高くはないと思います。



【温泉水の作用】 地球のエネルギーを吸収

「熱力学の第二法則」という概念があります。
簡単に言うと、熱エネルギーは高い方から低い方に必ず移動するという法則です。

この法則から考えると、マントルのもつ熱エネルギーが地下水に伝わり、熱せられた地下水のエネルギーが温泉という形で地表に現れ、その熱エネルギーを私達の体が受け入れるという図式になります。
地表に出た熱エネルギーはその後、ふたたび循環していくことになりますが、人間にとっては地球からのエネルギーを温泉から直接「いただく」と考えてもいいでしょう。

もう一つ、エネルギーの発生という視点は、温泉成分をたっぷりと含んだ地下水が表面に向かって上昇するにしたがい、さらに地表で空気に触れるにつれ、化学変化を起こすことでエネルギーをが生じるという推論です。

熱力学第二法則から導かれた「エントロピーの法則」は、物質が移動したり、不安定(無秩序、崩壊)になるとエネルギーが生じ、エントロピー量が増大するという考え方です。
ここではとりあえず「不安定になるシステムの総変化量」ととらえておくことにします。

温泉の成分が地中と地上で変化し、それがまた私達の人間の体内に吸収されると、エントロピーはどんどん増大する。
この「移ろい」、言い換えると「連続性」が私達に大きな効果を与えると考えられます。

例えば、地中で「四角」だった温泉が地表に噴出したとたん、地球上で生きる形を変えて、それが「丸」に変わる。
さらに「循環湯」システムになるとこれが「三角」にまで変化する。
私達に効くのは「四角」の温泉なのか、それに近い温泉を連続的に浴びることです。
このようなプロセスで、地球のエネルギーが人のエネルギーに変換していると言えるのです。

【日本人と湯治文化】 温泉の個性、相性が大切

温泉浴場の脱衣所に掲示されている「温泉分析書」をご覧になったことがあるでしょう。
あれほど、入浴者の温泉に対する意識を混乱させただけでなく、温泉経営者を堕落させ“マガイモノ温泉”を輩出さrせる元凶になったものは他にありません。

温泉分析書には「適応症」という欄があります。
あれをあまりアテにしない方が良いでしょう。
「硫黄泉=動脈硬化に効く」「含鉄泉=貧血に効く」というように、化学的に分析して取り出した微々たる成分の医学的な効能を、ほとんど機械的に書き出したものと言ってよく、その温泉の効能とは別のものであることも多々あるからです。

半世紀以上何ら疑問を持たぬまま、平気でいかにもそれらしく適応症を掲示させたことを考えると、国に対して憤りを覚えます。
化学合成した塩素を混入したり、温泉を循環させて使用することで、そこに含まれている成分が化学変化することすら無視しているのですから。

含有成分だけで機械的に適応症が分類できるなら、優れて個性的な日本人はこれほど温泉が好きにはならなかったでしょう。
それなら人工温泉を作ってしまった方が早かったからです。
江戸時代、医学者の中には人工温泉を作ろうと試みた人たちもいましたが、「ホンモノにはかなわない」とあきらめます。
この言葉の中に、温泉の本質が含まれていると思うのです。

西洋医学の対症療法としての個々の症状に効くというよりは、私達の生きる力、つまりウイルスやがん細胞などと闘うための自然治癒力を高め、その効力を引き出すものです。

温泉が、人間が本来備えている病気にならない力、病気にかつ力である自然治癒力を高められるのは、その生物学的活性度にあります。
人工温泉では生命力を持っていませんから、効力が弱いのです。
その気になっただけです。

私達一人ひとりに個性があるように、温泉にも個性があり、相性が大切になります。
自然の賜物である温泉の活性度に感応する個性です。

【西洋医学の限界】 医師も認めるクスリの害

「熱があってもせきがひどいので、なんとかしてください」と患者が訴えます。
医者は風邪の原因はウイルスと分かっていますが、風邪のウイルスを退治する特効薬はありません。
ですが、私達の自然治癒力が働いて、ウイルスを体外に排出するので、風邪は数日で自然と治ってしまうものです。

ところが、「風邪を治す薬はありませんが、安静にしていればすぐに治ります」というお医者さんはまずいません。
実際には、熱があれば解熱剤、せきがあったら咳止めなどを出します。
いわゆる対症療法の薬しかないのです。

「医療破綻」という本では、「実は、熱・せき・下痢などの症状は、そもそもウイルスを排出するための自然治癒力が働くことで発生する症状なのです」と明確に述べています。
私も時々、下痢をしたら「あぁ、これで治るね」とホットします。
このような、かつては大人なら誰もが持ってた西洋医学の基礎知識があると、安易に薬を飲んでかえってこじらせることもないのです。

風邪のウイルスが体内にいる限り、薬の副作用で症状が悪化する可能性があります。
その理由は、生理的に起きる症状を人為的に止めるには、反生理的な現象を起こすしかないからです。

反生理的な現象を起こさせるクスリは、必ずといっていいほど体内のバランスを乱します。
その為、体のどこかで副作用が起きる事があるのです。
風邪を自分の自然治癒力でコントロールしながら治せることが、健康への第一歩だと考えています。
なぜなら、昔から「風邪は万病のもと」と言われているからです。

風邪を制する者、病気を制する者。とも言えます。


【湯治の効力】 湯につかり語らい、安らぐ

湯治とは、温泉につかりながら病気や傷、そして日々の疲れを癒し、元気を取り戻すことです。
私流には“心の湯浴み”(ゆあみ)と解釈しています。

心の湯浴みという一つの目的のもと、世代や性別、はたまた地域の分け隔てなく湯につかり語らい、安らぐ。
これが湯治というものの基本的な姿なのです。

したがって、混浴が当然でした。
それが自然の流儀というものでした。
老若男女が混浴し、お互いに譲り合ってお湯を楽しみ、風呂から上がった後でも、和気あいあいと談笑する。

湯治は精神的な癒しという側面がかなり強いのです。
だから、心も体も癒される。
その結果として持病が治ったとすれば、それは湯治の精神的な効力が肉体的な効果につながったということでしょう。
そして、現代人に求められているのは、まさにこのことに違いないと思うのです。

心の癒しが肉体的な治療をもたらしたとき、体の中では何が起こっているのでしょうか。
ここでもっとも大切な働きは免疫です。
投薬でもなく、ましてや外科的手段でもなく、免疫力が高められてることは、すなわち肉体に“自然治癒力”が備わったためだと考えられます。
私は自然治癒力を「生きる力」と考えています。

昔から、夏の暑さにも冬の寒さにも耐えられる「抵抗力のある心身をつくる」ことが湯治の意義だと言われてきました。
これは医学的な言葉に置き換えると「自然治癒力が高い心身をつくること」ということです。
すなわち、「生命力のある心身をつくる」ということです。

そのため、湯治の基本的な季節は1~2月にかけての「寒湯治」と、8月のお盆のころの「夏湯治」でした。
湯治によって人間に本来備わっている自然治癒力を呼び覚まさせ、白血球の機能を活性することができる。
これは「予防医学」の視点から考えると、現代社会においても活用範囲が広げられるはずです。

予防医学とは、わが国では公衆衛生と同義に用いられがちですが、本来は「健康を阻害するさまざまな要因をあらかじめ取り除く」医学のことを指します。
予防医学に相対する言葉は治療医学です。
私たちの心身に自然治癒力がしっかり備わっていれば、治療医学のお医者さんにかかる必要がないわけです。

【温泉療法】 欧州では国立大学が研究

ベルツ博士(明治政府が募った、ドイツ人内科医)の本職は、学校で西洋医学における病気の近代的研究を教えることだったのか、そのかたわらで温泉めぐりに精を出します。
ベルツ博士が草津をはじめ日本の湯治の驚異的な効果を目の当たりにするにつけ、温泉による治療効果を日本の医学者たちに喧伝(けんでん)しました。

「ただ、日本の湯治に欠けていることがある。医学的裏づけだ」
若きベルツ博士の言葉に、ドイツ温泉気候医学を導入して温泉を科学してみようという近代的姿勢が生まれます。
このことが日本の温泉療法が近代医学として歩みだす契機となり、国の肝いりで代表的な湯治場に国公立の療養病院や温泉研究施設がいくつも設立されます。

別府の九州帝国大学温泉治療学研究所をはじめ、一時は6ヶ所の国立大学で温泉医学の研究機関が活動していました。
ところが戦後、特に1960年代からの日本は、もっぱら薬依存の西洋医学一辺倒の体制が確立され、現在に至っていることは周知の通りです。

大学レベルでの温泉医学の研究機関も、国によって廃止されます。
正確に言うと、岡山大学と鹿児島大学にかろうじて残されていますが、リハビリに使用される程度です。

ヨーロッパ先進諸国の国立大学医学部に現代医学の一分野として温泉医学の研究機関があり、温泉医療に保険が使えることなども考えると、“温泉大国”日本の現状はあまりにもいびつと言わざるを得ません。
アジアでもモンゴルのように、温泉医療に保険が使える国はたくさんあります。

現代医学で治療不可能とされる病が、湯治で回復する見込みがあることを密かに信じているお医者さんは少なくないのです。
末期がんで西洋医学から見放された患者さんが、秋田県の玉川温泉に最後の望みを託すという話などはその証の一つに違いありません。

湯治への科学的アプローチを国がないがしろにし続けるなら、日本の湯治文化の保護と発展の為にも、私たち一人ひとりが湯治場を守っていかなくてはなりません。
温泉が私たちの心身を治療する効果のあることは疑いを挟む余地がないからです。
温泉が増えている事実が、そのことを物語っています。
さらなる化学的、医学的、物理的アプローチが真に待たれているのです。

【自然湧出泉の力】 おいしい生ビールと同じ

様々な成分を含んだ地下水が地表に出てきたものが“自然湧出泉”であり、それが人間に発見され、何らかの治療効果が知られて湯治場となった。
自然湧出泉のお湯は、たとえて言えば地球から私たちにプレゼントされた美味極まりない“完熟トマト”なのです。
完熟トマトは鮮度が大事です。
少しでも間をおくと、腐ってしまいますからね。

この例えかれにすれば、掘削によって自噴した温泉は“オレンジ色のトマト”の状態。
ここまでは温泉の生命力があるといっていい。
公共の温泉をはじめとする循環風呂の大半は、地下深く1000m~2000m近くも掘削し、その上自力では噴出させず、動力によってようやく採取された“青色のトマト”の状態。
これは完熟トマトのような熟成されたまろやかな味は期待できません。

自然に湧出したお湯につかると、どの泉質であっても熟成されたまろやかな感触が得られるものです。
自然湧出泉との幸福な出会い、これこそ究極の湯治場というステージだということができます。

このように自然が与えてくれた完成品をそのまま味わうことが、温泉の醍醐味の最もたるものなのです。

そのようなお湯に対して、「何も足さず、何も引かない」姿勢こそが本来、温泉経営者の原理原則です。
大気のない深くから地表に出たとたん、温泉は酸化したり窒素と化学反応を起こし始めたり、ただえさえ変質してしまいます。
そこに人間が加水したり、ましてや酸化剤とも言うべき塩素を混入したりすると、温泉はたちまち老化が促進され、ただの水以下になってしまうのです。

昔からある一級の湯治場で、遠くからお湯を引っ張ってくる所はほとんどありませんn。
温泉はおいしい生ビールと同じようなものです。
放っておいて時間が経てば、まずくなります。
とてもビールとは言えない代物に成り下がってしまいます。
温泉も生きているから、その場で鮮度を味わうという意味がお分かり頂けるでしょう。

温泉の成分が大気に触れて化学変化を起こすと、成分は違ったものになります。
この現象を“老化”と呼び、老化は“温泉力”を失うことを意味します。
このような温泉では私たちの体の細胞を活性化できないのです。

【湯質を活かす】 泉源に近いほど本質保つ

温泉は単に温かい水ではないのです。
それなら家庭風呂で間に合います。
いかに湯質を活かすか、ここに温泉経営者の力量が試されます。
なぜなら、温泉は昔から病気を治癒できるからこそ、温泉と呼ばれてきたからです。

循環風呂や塩素殺菌風呂、安易に加水する風呂…。
“入湯税”まで徴収しながら、温泉の名に値しない温泉と称するものが、私たちの周りにあまりにも氾濫しています。

浴槽の底から自然湧出する形態を“直湧き”と呼びます。
直湧きであろうと、至近距離から引き湯をするものであろうと、自然湧出のお湯を提供することが湯治場本来の務めでした。

【直湧き温泉】 希少価値の高い“宝の湯”

浴槽の底から自然湧出する“直湧き”温泉は全国的にわずかながら残されています。

・丸駒温泉 (北海道)

・入湯温泉郷 鶴の湯温泉 (秋田県)

・蔵王温泉 川原湯共同浴場 (山形県)

・湯原温泉 露天共同浴場「砂湯」 (岡山県)

・奥津温泉 奥津荘 (岡山県)

・三朝温泉 旅館大橋 天然洞窟の湯 (鳥取県)

・岩井温泉 岩井屋 源泉長寿の湯 (鳥取県)

・壁湯温泉 旅館福元屋 天然洞窟風呂 (大分県)

・地獄温泉 清風荘 混浴露天風呂

など

実際には相当の温泉好きの人でも、“自然湧出”につかったことはそうないでしょう。
ましてや、“直湧き”温泉を体験することは稀に違いありません。
この世で最も極楽に近い温泉出る直湧きが、いかに私たちの心の琴線に響く湯であるか体験して頂きたいと思います。

温泉は地球が丸ごと沸かしてくれた副作用のない特効薬でした。
私は過日、十数年ぶりに知床半島で流氷の白い海原に沈む夕日と対面してきました。
大自然と向き合うことで、素直になれる自分を取り戻したのです。

温泉も同じだと思います。
文明の利器の関わっていない温泉こそ、自然に近いものです。
その究極のものが自然湧出温泉であり、直湧きですね。
そうした湯につかっていると、方の力も心の力も抜け、自然体になっている自分を発見することができるに違いありません。

【温泉の味わい方】 つかる、飲む、肌で吸収

ではなぜ新鮮な温泉につかることが、自然治癒力を高めることにつながるか?
「温泉を味わう」という文学的な言い方を少しばかり科学してみましょう。

まずは精神的な効果が思い当たりますよね。
ぬるめのお湯につかると、リラックスして眠りたくなるというのは、副交感神経が刺激された結果、生理的な活動が抑制される為です。
また、副交感神経が活発に働くと、大切な免疫細胞である白血球の“リンパ球”が増えることが指摘されています。

別の面から見ると、脳下垂体がしげきされ、ホルモンのバランスが正常になる。
つまり、生体機能の“ホメオスタシス”(正常な体内環境を維持すること)に寄与できるということです。
この2つの効果が、直接的には免疫力を高めるということなのです。

さらに、文字通り「気持ちがいい」という状態は脳内神経伝達物質のセロトニンをよく分泌させ、幸福感を抱かせるということが最近の脳研究で明らかになっています。
長野県地獄谷の露天風呂につかっているニホンザルの幸せそうな表情を見ていると、温泉がヒトを幸福にすることが想像できますよね。

温泉を飲むことも、味わうということの一つです。
飲泉は胃腸や肝臓の働きに直接的な効力があります。
仮に不純物や毒素が消化器系から入ってきたとしても、肝臓が解毒してくれます。

もう一つ重要な味わい方は、お湯をお肌で味わうということです。
皮膚は人の体の中で、最大の臓器と言われています。
体が大気中にあれば皮膚呼吸で酸素を取り入れていますが、水中では皮膚の細胞が体内外の物質を交換しています。
皮膚の細胞を介して、浸透圧により細胞膜の内外でイオン交換にともなう物質の交換をしているのです。

体の表面を覆っている皮膚がまず、温泉の成分を取り込みます。
次いでこれが皮膚のすぐ下にある結合組織に入ります。
結合組織とは、筋肉や腱や膜などといった繊維状の組織や軟骨・骨・血液をいい、前身につながっている唯一の組織です。
血管から染み出した栄養分を細胞に届ける、いわば大地のような役割を果たしています。
もちろん結合組織に入った温泉成分は血液で体内に運ばれ、効能を発揮するわけです。

免疫力が高まるということは、自然治癒力が増すことに近いと考えていいでしょう。
病後の湯治であれば治癒力が目的となりますし、病気にかかりにくい体を目的とする場合は予防医学を実践することにつながります。

ところが皮膚から取り込まれて困ることもあります。
結合組織から体内に運ばれる成分が、体に毒となる物質だったらどうなるか?

入浴の場合は吸収されっぱなしで、飲泉の場合のように肝臓がフィルターの役割を果たして約80%が対外に排出されるというわけにはいきません。
ですから、大半の公共温泉やスーパー銭湯など循環風呂で使用されている殺菌用の塩素は、人体に有害な化学物質が温泉成分に混合される危険この上ないものなのです。

【若返りの湯】 ホルモンの分泌を適正化

昔から温泉は西洋問わず、“若返りの湯”と言われてきました。
アンチエイジングが「抗老化」の意味に使われてきたことを考えると、温泉は抗老化より進んでむしろ年齢より若くすることに大きな意義がありました。

それはホンモノの生命力みなぎる温泉につかることによりホルモンの分泌を適正にし、細胞を活性化させ、内面から若くするという意味でした。
化粧品によって皮膚の老化をカモフラージュするいわば応急的なものとは基本的に異なります。
日本人が年齢より若く見えるのは、温泉と密接な関係がありそうです。

従来の老年医学は、老化によって発症した病気を治癒することが主眼だったのですが、最近は老化にブレーキをかけ、若返りを可能にしました。

その一つが、ヒト成長ホルモンの研究。
子どもの成長に大切な役割を果たすホルモンで、このホルモンが若返りに劇的効果があることがアメリカで証明されています。

ヒト成長ホルモンは投与の他、サプリメントで分泌を刺激したり、筋肉に対する加圧トレーニングなど物理的な方法で、みずから体につくらせる方法が開発されています。

効果として、血液循環機能のレベルアップ、肌の若返り、性的能力の回復、脳活動の向上などが確認されています。

東洋医学で常識とされていたことが、アメリカでそのエビデンスを科学的にバックアップするケースが相次いでいます。

例えば、日本では「腹八分目」あるいは「腹六分目」という言葉が昔からありますよね。
食べたいだけ自由に食べるのを100として、その50~70%のカロリー摂取だと、最大の寿命延長効果が得られることが確認されています。
西洋医学の限界を確認した結果の研究なのでしょう。

【不自然な温泉】 最上階に「展望台浴場」とは

私たちが見落としがちな“不自然な温泉”の代表格は、ビルの屋上(最上階)に風呂がある、いわゆる“展望台浴場”でしょう。
考えてみれば、これほど不自然なものはありません。
なぜなら、水というものは放っておけば「高きから低きへ」流れるものだからです。

自然に任せていたら、地下から湧出する温泉が、何十mの高さまで上がるわけがありません。
動力を使って上まで運んでいます。

「下にあろうが上にあろうが温泉は温泉では?」と思う人も多いでしょう。
しかし、そうではありません。

というのは、温泉の質は一般に空気に触れる時間が長ければ長くなるほど劣化、つまり酸化されます。
化学変化を起こすんでしたね。
したがって、高い位置にある温泉ほど、そこまでに行く間にパイプの中でたくさん空気に触れ、質が落ちていると考えていいでしょう。
しかも動力を使って屋上まで上げていますから、温泉が否応なしに攪拌され、どんどん酸化し劣化します。
温泉の最大の敵は酸化されることですから、攪拌は最も避けたいものなのです。

ですから、自然湧出をもっとも理想的に浴槽まで引き湯する方法は、土地の落差を利用した“自然流下”です。
それは自然湧出、あるいは自噴した地点より、風呂を低い位置につくることにより、水は高きから低きへ流れる自然の原理にのっとって、浴槽まで温泉を引いてくれる方法です。
温泉は“文明の利器”を嫌うのです。


【湯治宿の選び方①】 料理やサービスは二の次に

湯治でもっとも大切なことは、「ホンモノ温泉」を選ぶことです。
皮膚病であれば硫黄泉といった具合に、とくに必要性があればホンモノの温泉のなかから泉質を選びましょう。

自然治癒力を高めるのが目的ですから、泉質に必要以上にこだわらなくてもいいでしょう。
“鮮度”“生命力”にこだわりましょう。
その中でも強いて泉質の優先順位を挙げますと

ラジウム泉、炭酸泉、硫黄泉、食塩泉

などです。

ホンモノの温泉であること、そして心からリラックスできる自然環境があること。
湯治に求められるのはこの2点です。
これがしっかりしていれば信頼のできる温泉経営者と言えるでしょう。
一般に温泉旅館に求められる料理やサービス、宿の設備などは、あえていえば湯治の本質にほとんど関係ありません。
料金が高くなるだけです。

では、どうすれば湯治にふさわしい宿を見付けられるか。
ポイントはホンモノの温泉をもっていて、できるだけ料金の安い宿を選ぶことです。

2、3泊程度の“プチ湯治”でしたら、2食付でも1泊1万円以内がベストでしょう。東北、北海道や地方では8,000円前後で宿泊できるプチ湯治にふさわしい宿はいくらでもあります。

料金が高くなるのは、建物、設備、料理、サービスなどにコストをかけているためです。
TVによく出ている人気温泉地、有名温泉地や質の高い宿はそれなりにいい雰囲気を持っています。
料理も楽しめることでしょう。
ですが、保養を目的とした当時とはかけ離れていることを自覚しましょう。

そうした宿には当然、行楽目的の宿泊客が多くやってくるからです。
夜中までおしゃべりしていたり、慌ただしく風呂に出入りしたり、そのような環境では温泉とじっくり向き合うことは難しくなります。
ですから、そこが湯治宿でない場合、部屋数のあまり多くない宿がふさわしいでしょう。

せいぜい20室程度まで。
30室を超えるような宿は、団体客を入れている可能性があるからです。

一方、1週間以上の本格的な湯治なら、歴史ある湯治専門旅館がおすすめです。
湯治場としてトップ級と言えるのが

東では、山形県 肘折(ひじおり)温泉
西では、山口県 俵山温泉


です。
どちらも温泉街全体が湯治場としての風情と機能を保っています。

【湯治宿の選び方②】 「外湯」のある湯治場こそ使い勝手がいい

湯治を主体とした宿でも、一般客を受け入れるところもあり、たいていは「旅館部」「湯治(自炊)部」と呼び分け、別棟になっています。
自炊するつもりなら、3,000円前後で、賄い付きを頼んでも2食付で6,000~7,000円程度で泊まれる宿がほとんどです。

湯治部の部屋は壁が薄いので、「隣の音が気になるのでは…」と心配される方もいるでしょうが、ものは考えようです。

温泉とともに自然を楽しみながら静養する湯治で、観光旅館のような閉ざされた部屋がいいのか。
湯治場で夜中までテレビを見たり、飲んで騒ぐ人はまずいません。
夜10時前後には床に就き、朝早く目覚める生活です。
むしろ人の気配にさえ安らぎを感じるものです。

【湯治宿の選び方③】 旅館に直接問い合わせる

湯治や2、3泊のプチ湯治の宿を選ぶには、ガイドブックや関連する書籍で情報収集をすることも大切ですが、予約する段階で宿に確認したいことがいくつかあります。
まずはこれまで繰り返し述べてきたように、すべての基本となる温泉について。

宿に電話かメールなどで「お宅は温泉のかけ流しの温泉ですか?それとも循環風呂ですか?」と問い合わせてください。
循環風呂の場合、温泉法でその旨と理由を掲示することになっていますから、問い合わせに対してきちんと対応することは宿の義務です。
宿まで行く交通費や宿泊料などは利用者が支払うわけですから、納得のゆく回答をもらってから予約をしましょう。

古くから湯治宿として営業しているところは、ホンモノ温泉を提供しその効能が認められていますが、1泊やプチ湯治のような短期滞在の一般旅館を選ぶ場合は、この問い合わせは必須です。

次に大切なのは、“自家源泉”を持っているかどうか。
草津温泉のように多くの宿が共同源泉である湯畑などから引き湯し、歴史的に信頼できるところもありますが、一般的に自家源泉がもっとも新鮮な湯につかることができる確率が高いためです。

そして、何本の自家源泉を所有しているかも同時に問い合わせてみたいものです。
源泉の数が多ければ、それだけ湯量が確保でき、風呂の数も多いはずです。
硫化水素泉、重曹泉、食塩泉などと泉質が異なる場合もあるでしょう。

【湯治宿の選び方④】 露天風呂信仰はやめて

ブームを受けてやむなく作った経営者にとって、露天風呂はおまけです。
実際、露天風呂の湯を毎日抜くところは本当に珍しい。
しかも日中、太陽の光に当てられ、砂ぼこりや花粉が飛んでくる露天風呂は、それだけ温泉の劣化が早いものです。

よく露天風呂などに、「すべりやすいので足元にご注意ください」などの注意書きが貼られたりしているのを見かけることがあるでしょう。

一見良心的な経営者にも思えるのですが、毎日お湯を抜いてしっかり洗浄していれば、すべりやすくはなりません。
しかも「温泉成分のせいです」と管理の手抜きを、本来商売の目玉商品である温泉のせいにしているのですから、あきれてしまいます。

露天風呂には魔物が潜んでいると私はかねがね実感しています。
内風呂で観察していると、脱衣所から内風呂をそのまま通り抜けて露天風呂へ直行する。
“露天風呂好き”は実に多いのですが、体を洗い流してから行く人はまずいない。

露天風呂より先に内風呂につかる人では、5人のうち2、3人はかけ湯をしたり、洗い場で体を洗い流してから内湯につかります。
それでも5人のうち2、3にんはそのままドボンと風呂に入ってしまうのです。
私の観察では、マガイモノの温泉施設こそ、体を流さずの“ドボン風呂”が多い。
しかも若い人よりむしろ中高年にそれが目立ちます。

露天風呂直行派はそのほとんどが“ドボン派”でもありますから、湯の汚れはさらに加速されるわけです。
露天風呂への過度な信仰はやめにしたいものです。
健康のための温泉、予防医学としての温泉を考える場合、露天風呂には入らなくてもいい、心の眼で外の風景をイメージするのが良いでしょう。

【湯治宿の選び方⑤】 “湯治料金”の事前確認を

滞在型の当時では、その料金も気になるところですね。
2、3泊のプチ湯治でしたら、1泊2食付で8,000~1万円前後が目安になりますが、1週間以上滞在したいときに確認して欲しいのが湯治料金です。
湯治料金というのは湯治客のために設定されている宿代で一般宿泊より割安になっています。

3、4泊以上から湯治料金を設定している宿が多いようですが、中には1週間以上の宿泊に適用しているところもあります。
予約時に確認する必要があります。
いずれにしても当時料金を設定している宿は、当時に対する見識もきちんと持っていると考えていいでしょう。

中には1泊でも湯治料金となる宿もあります。
一般料金との違いは主に料理、次に部屋の広さです。
料理の品数が少なかったり、内容も質素なことが多い。
これは湯治にとって好条件と言えるのです。
トイレも共同が普通です。

みなさんも経験しているでしょうが、温泉旅行ではつい食が進むものです。
転地効果と入浴によって血行が良くなり、胃腸の調子が良くなりますから、食事が美味しくなるのも当然です。
ですが、保養はもともと観光旅行のように豪華な料理が目的ではありません。

お湯につかり、あとは散歩するなり読書やのんびり静養するだけの湯治で、たらふく食べてしまうと、健康にもマイナスになりかねません。
「腹8分目」という言葉があるように、食べ過ぎは血の質を悪くし、低体温を招きかねません。
湯治の栄養分は温泉そのものなのです。

これは決して言葉のあやではなく、温泉に含有されている様々なミネラルが皮膚を通して、あるいは湿気を吸ったり、飲泉をしたりすることによりたっぷり体内に取り込まれるのです。
ですから、たまにはむしろ質素な食事の方が良いでしょう。

【湯治宿の選び方⑥】 客層でわかる宿の雰囲気

宿側の気遣い、湯治客への配慮を知る目安として、送迎してくれるかどうかをチェックしてみましょう。
湯治専門の宿は、山中など不便な場所にあることが多いからです。
なかにはバスの便が少なかったり、いくつもの交通機関を乗り継がなければたどり着けない、不便な名門湯治宿もあります。

そういう事情を考慮して、最寄りの駅まで送迎してくれるような宿には、それだけきめ細やかなサービスが感じられます。
きっと「ぜひ、ウチに来てください」という気持ちをもっている。
送迎付きでなければダメということは決してありませんが、そんなことからでも経営者の思いは感じられるものです。

客層、つまりどんなお客さんが来ているかは、事前に知っておきたいものです。
特に一般の旅行者も泊まる宿では、一般観光客やツアー客の割合が高いと静かに過ごすことは難しいかもしれません。
とりわけ、風呂場では。

また、「どのような年齢層が多いのか」と聞いてみるのも参考になります。
若い人が多いから騒がしいとは限らないものの、そんな質問をすると、何となく宿の雰囲気が分かるものです。
もっとも、2、3泊の“プチ湯治”ではそれほど神経質にならなくてもいいかもしれませんね。

ただ、宿の立地、ロケーションは大事です。
にぎやかな立地では往々にして騒がしい客や団体の利用が多くなりますから。

【湯治の期間】 3、4週間が効果的 

湯治宿で一番大切なことは、もちろん入浴です。
ただし、やみくもに数ヶ月も続けて湯につかったからといって、その分だけ余計に温泉の効果が得られるというわけではありません。

かつて湯治が全盛の時代でも、湯治生活には3、4週間でいったん切り上げたものでした。
ヨーロッパも同じです。
同じ温泉につかり続けると、体が反応しなくなるからです。
成分の刺激に対して体が慣れてきてしまうわけです。

温泉によって自律神経系、ホルモン系、免疫系などの乱れが修復されていくのです。
この入浴が3週間も続くと、生体はなれてしまい反応しなくなることが分かっています。
ヨーロッパでは4週間と言われています。
日本人は1日あたりの入浴回数が多いため、早く反応しなくなります。
ヨーロッパでは週末の入浴を控えるのが一般的だからです。

わが国では1年に約34万人もの人ががんで死亡しています。
例えば、がんの三大治療の一つである抗がん剤は、がん細胞に効いても同時に正常な細胞も傷つけ、免疫力を著しく落とすために命取りになるケースが非常に多いのです。

現代における温泉の役割は、自然治癒力、あるいは自己免疫力という言葉を使ってもいいでしょうが、“生きる力”(生命力)を高めることを第一義に考える必要があります。

特に江戸時代以降の日本人と湯治の関わりを見ると、湯治客の60~70%は自己免疫力を高め、病気になりにくい、つまり生体リズムの乱れのない健康な体を維持するために湯治していたのです。
車のなかった大昔、病気の人が数日も歩いて山奥の温泉場まで行けるわけがありません。

がんの手術に成功しても、2~3年以内に半数近くの人が再発するのが現代の医学なのです。
がん細胞の切除には成功しても、免疫力が低く健康な体ではないために再発するわけです。

1週間単位の本格的な湯治、あるいは2~3日のプチ湯治でも、その現代的意義は“予防医学”にある、病気になりにくいからだ、たとえがんになっても薬の副作用に対して抵抗力のある体、修復力のある体と精神力をつくることにあると理解してください。

【湯治宿での過ごし方①】 3、4回の入浴を軸に 

過度の入浴や不規則な入り方は、かえって体にダメージを与えかねません。
日に何回入ればいいのか、江戸時代から様々な指南書が伝わっていますが、3回、多くて4回がいいところのようです。

風呂に入る時間を軸にして、湯治場での1日の過ごし方を組み立ててみましょう。

入浴は食事の直前、直後は避けるようにします。
入浴時の発汗によって体内の塩分が失われ、胃液の分泌が減少してしまうためです。
特に食後の入浴は、血液が体表面に集まって内臓への血液量が減るため、消化器官の働きが鈍くなり、消化不良を起こします。
食事の前は1時間、食後は2時間前後は入浴を控えたいものです。
また、風呂に入った後は1時間くらい横になるなど、安静にしていた方がいいでしょう。
湯冷めによる風邪をふせぐとともに、温熱効果を高めるためです。

温泉浴は体力を消耗します。
5分間縄跳びをする消費カロリーは約17kcalですが、ホンモノの温泉にじっとつかるだけでも約16kcal消費すると言われています。

【湯治宿での過ごし方②】 必要以上の発汗をしない

温泉浴は体力を消耗しますし、サウナではありませんので、額に汗がにじんだら浴槽から一度出てください。
全身に血をめぐらせることが予防医学として正しい入浴法です。
苦しくなったら半身浴、冷えてきたら再び半身浴。
浴槽の縁に腰掛ければ足浴になります。
湯気がこもっているような理想的な風呂場でした、足湯、半身浴であっても、温泉成分が含まれた湯気を吸収できます。

入浴中に必要以上の汗を出さずに、リラックスした状態で血がゆったりと全身にめぐるようにする。
副交感神経を優位にしながらです。

くれぐれも熱い湯にやせ我慢しないように。
血栓の原因になります。
入浴しながら交感神経を刺激して血圧を上げるのは命取りになりかねません。
日本の温泉はサウナではありません。
必要以上の発汗は慎みましょう。

風呂から上がり脱衣所で玉の汗が腕や肩、胸に出てくればしめたものです。
すぐにふき取らず、10~20分、汗が出るのに任せましょう。
その後、バスタオルでふき取ると、服や浴衣を着た後も湯冷めしません。

脱衣所でゆっくり休む余裕を持ちましょう。
浴場の広さに近い広さを持った脱衣所に充てている経営者はなかなかの人物です。
どうしてもお金にならない脱衣所は、普通気配りが行き届きませんからね。

繰り返しになりますが、湯上り直後には冷たい飲み物をがぶがぶ飲まないこと。
体内から急激に体温を下げることになり、免疫の強化につながりません。
もしのどが渇いていたのでしたら、温かいもの、常温のものを飲んでください。

【湯治宿での過ごし方③】 症状に合わせた入浴法で

湯治による温泉療法を考えた場合、全身入浴法ではぬるめのお湯につかる場合と、高温の湯につかるのとでは、その効果が異なります。

ぬるま湯、微温浴などと呼ばれる入浴法は、心臓や血圧の影響が少なく、体に負担がかからないため長湯が可能です。
また、沈静作用をもたらす副交感神経が働くため、ストレスなどによる情緒不安定や不眠などに効果的です。
ストレスが主な原因とされる肩こりや腰痛を和らげる働きもあるので、日ごろの疲労を取り安眠したい方はぬるま湯がおすすめです。

一方、熱い湯につかる高温浴は、逆に交感神経を刺激しますから、精神的、肉体的に活発な状態になります。
なんとなく元気がなく、気持ちが沈んでいるという場合には、短時間の高温浴が効果的です。
体の新陳代謝が活発になるため、リウマチや神経痛などの血流が滞ることで起こる症状を緩和します。

ただし、高温浴は血圧の急速な上昇を招き、それだけ心臓に負担がかかります。
心臓に疾患がある方や高齢の方は避けるか、半身浴が無難でしょう。

また、脳貧血を防ぐために、十分な「かけ湯」をします。
心臓から最も遠い下半身から順に上半身へと、最低10杯前後はかけたいものです。
体を湯温に慣らし、血圧の急激な変化を防ぐためです。
冬場に毎年、家の風呂で、1万4000人前後がなくなっているといわれます。
もちろん、かけ湯は体の汚れを流すエチケットとして欠かせないものです。

【温泉でのマナー】 入浴前にたっぷりかけ湯を

「温泉で自分が気持ちよくなりたければ、まずは他人に気配りしなさい。たとえば入浴マナーを守ることによって、他人を気持ちよくしてあげれば、それが自分に返って来るんだよ」
私は日ごろから学生にこう言っています。

家庭風呂がこれだけ普及しているなか、日本人はあえて銭湯や温泉に出かけ、赤の他人とお湯を共有することに喜びを感じています。
「輪になて和を極める」のが日本の精神で、そうすることが心地よいのです。

ところが、最近の入浴マナーは最悪です。
浴槽につかる前にかけ湯をしたり、シャワーで洗い流すケースが絶望的に少ないのです。
女性はマナーを守っているようですが、男性は5人のうち2、3人は湯の中にそのままドボーンです。
しかも若い人より、中高年の人のマナー違反が目立つから困ったものです。
誰も見ていない家庭風呂ではどうなっているのやら。
想像するだけでぞっとしますね。

浴槽に入る前に、しっかりとかけ湯をして下半身の汚い所を洗い流す。
これは温泉だけでなく、家庭の風呂でも常識です。
洗い場で洗い流してもいいのですが、私は伝統的な流儀にのっとって桶を片手に浴槽へ直行します。

家庭風呂とは違って温泉浴場ですから、ホンモノの温泉なら新鮮な湯がどんどん掛け流されているはずです。
お湯はふんだんに使いましょう。
それが温泉へ行く意味だったわけですから。
贅沢に10杯前後、できればもっと多く、たっぷりと使いたいものです。
温泉の恵みに感謝しながら、“温泉天国”日本に住んでいることに幸せを感じながら。
きっと心まで洗われる気分になることでしょう。

特に中高年の方は直接露天風呂へ向かわず、内風呂にゆっくりつかってから、露天風呂はむしろおまけで楽しむくらいの気持ちでいいでしょう。
冬季は外気との温度差で血圧が急変し、心臓や脳の発作につながることがあります。

体や髪を洗うのは温泉浴の主目的ではありませんでしたね。
石けんを使わなくても、ホンモノの温泉にゆったりとつかっていると、皮膚の表面の角質の汚れは除けます。
温泉成分と私たちの皮脂で、天然のせっけん状態になっているわけです。

頭の方は温泉を桶でしっかりかけてください。
100~200杯を数回に分けてかけると、シャンプーは必要ありません。
汚れがひどいときはシャンプーで軽く洗った後、かぶり湯をしてください。
もちろん、上がる際はシャワーを浴びない、せっかくの温泉成分を洗い流すなんてもったいないですよ。

【温泉医学の歴史】 江戸時代に花開いた家庭の医療

たとえば、入浴回数について香川修徳(日本で最初の温泉医学書の著者)はこう記しています。

入浴は1日に2、3回を基準とする。
身体の弱いものは1、2回とするべきであろう。
強い人は3~5回に及んでも害はない。

これを過ぎては疲労する。
ところが、田舎の凡人は、入浴の適度な回数を知らない。
無病の人が予防の用意をしても、ただ疲れてしまうだけである。


また、橋本徳瓶という人は宿に着いた後の入浴の心構えを「およそ入浴の法は、旅より着きてしばらく休息して湯に入るべし」と書いています。

早く温泉につかりたいという気持ちが分かりますが、一服してから入りなさいというのです。
これはスポーツ直後の入浴もよくないとの警告に通じます。

次に紹介する香川修徳の浴法などは、日本人の琴線に触れる最もたるものではないでしょうか。

入浴する者は、必ず自分の回りに湯をかけ、自分の座る場所を暖め、その後静かに座り、ひしゃくで温泉を汲み取り、ゆっくり、両者及び腹や背中にかけ、布巾を湯に浸し、顔を洗い、心を静かに、気を和らげ、ほんとうに子どもが水に遊ぶような、純な気持ちになり、浴槽の中に入ること暫くの間、心身を暖め、また必ず心身の回りを暖かくすることが必要であると知るべきである。

もちろん、現在は浴槽の湯にてぬぐいをひたすのはマナー違反ですが、“ハレ”の場であるはずの温泉までもが、心身の汚れを洗い流す家庭風呂や銭湯と化している現状を見るにつけても、修徳の温泉論は傾聴するに値すると思います。

【まとめ】 自然治癒力を高める方法

日本人は「温泉に行くと疲れが取れる」とか「温泉で癒される」と言います。
こうした言葉は、私たちの先人たちが“経験温泉学”的に体得した結果、いわば温泉DNAのように現代人に受け継がれたものではなかったかと考えています。

ですが、私は時々疑問に思うのです。
現代人はほんとうに温泉で疲れが取れているのか、癒されているのかと。
瞬間的な気持ち、つまり感覚的なものだけではないかと。

私たちの先人たちが温泉に入って疲れが取れたり、癒されたと感じたのは、ほんとに心身が健康になってからでした。
自然治癒力が高まり、医学的にも肉体的にも精神的にも健康な状態になった、元気になったからです。
その結果、冒頭で書いたような刷り込み、温泉DNAのようなものが形成されたに違いなのです。

現状はどうか。
平気で塩素殺菌の循環風呂に入って温泉気分にひたったり、平気で湯上りに冷えたビールや清涼飲料水をがぶがぶ飲む人々は、栄養ドリンクを飲むようなものです。

コンビニでよく売られている栄養ドリンクを飲んで、肉体的にも精神的にも健康になれると考えている日本人はいないでしょう。
カフェインなどが入っているので、しばし元気になった気がしますが、1、2度小便をするともう終わりです。
病院で受ける点滴すら似たようなものです。

立派な温泉施設が東京、大阪、名古屋のような大都会のど真ん中にどんどん誕生しているにも関わらず、この国では年間の医療費が増え続け、2008年には34兆1,000億円です。
(2015年には40兆円を突破)
つまり、気分でしかない温泉は医学的な健康につながっていないのでは?ということです。

いや、むしろ塩素着けの“強塩素泉”ともいうべきこれらのマガイモノ温泉は、日本人をますます不健康にしているよに思えてなりません。
こうした大量の薬剤が混入されたマガイモノ温泉は、若い人だけではなく、お年寄りの体温低下をもたらし、交感神経を優位にし、つまり血圧を上昇させ、免疫力を低下させてしまいます。
もちろん、脳神経にとってもマイナスです。

「温泉で癒された」という感覚は、いわば栄養ドリンクを飲んだようなもの。
その場限りのことで、それが肉体的な元気、健康につながっていないのです。
本来ですと、肉体的に癒され、つまり自然治癒力を回復し、それがために「温泉は癒される」との日本人のDNAができあがって今日に至ったのですが、それは思い込みでしかなくなってしまったということです。

精神的な癒しが肉体的な免疫力の向上、回復につながるには、これまで述べてきたように、まずはホンモノ温泉を選ぶこと。
次に入浴法、特に浴後の行動などが大切になることはもうお分かりですよね。

私たちの先人たちは、湯治という名の長期バカンスを楽しみながら“経験温泉学”的に予防医学に努めていたのでした。

①温泉浴により、体温の上昇、それが白血球の数と機能を適性しに、免疫力を高める。
②毎日のウォーキングにより、同様の効果を得る。
③和食中心の小食により、同様の効果を得る。
④温泉で価値観を同じにする人々が集うことで、笑い、笑みを取り戻し、それが免疫力を高める。
笑うことでがん細胞が消えた事例はいくらでも報告されている。


以上の4点が自然治癒力を高める方法ですが、いずれも日本人は湯治生活のなかで修得したものでした。

温泉浴により、白血球をコントロールする自律神経の動きを適正にする上で、温泉の化学、物理的作用のほかに、温泉地の自然環境がもたらす精神的なリラクゼーション効果は無視できません。
現代人は効率至上主義の罠に陥り、この効果を過小評価してきたのではないかと思うのです。
それが証拠に、大都会やその近郊の日常とそう変わらない立地にあるマガイモノ温泉に向かっている人々が実に多いのです。

今健康な人は、2、3泊の“プチ湯治”を年2~4回行う余裕を持ち、予防医学としての温泉浴、病気になりにくい心身を作りたいものです。
薬依存体質、薬依存生活からの脱却を、日本の豊かな温泉を楽しみながら図ってもらいたいものです。






関連記事

■関連記事