この記事を簡単に言うと
・日本一有名なニートのphaさんに関する記事について紹介。

・phaさんは京都大学を24歳で卒業後、28歳で会社を退職。月収10万円ほどで、ダラダラと好きなことに時間をつかう日々。退職後に仲間たちとつくったシェアハウス「ギークハウス」の発起人。

・3年勤めた会社を28歳で辞めてから、この10年間基本的には変わっていない。好きなときに起きて、好きなことをする。そんな毎日。



朝日新聞デジタルにて、日本一有名なニートのphaさんに関する記事がありました。
pha
個人的に興味深い内容だったので、引用しながら紹介したいと思います。

タイムラインのような現実のコミュニティへ phaさんのニート的生き方。

私たちが〝普通〟だと思っている生き方を、ゆるやかに相対化しつづけている人がいる。
京都大学を24歳で卒業後、28歳で会社を退職。
月収10万円ほどで、ダラダラと好きなことに時間をつかう日々。
その一方で、退職後に仲間たちとつくったシェアハウス「ギークハウス」は、広く賛同者を集めたプロジェクトに成長し、各地に同様の場所が生まれた。
新たな価値観・社会観を説く著作群も注目を集めつづけるpha(ファ)さんに、〝今の時代の生き方〟を聞いた。

―38歳のphaさんは、言葉の定義上は15〜34歳の若年無業者を指す「ニート」から外れ、「元ニート」になっています。最近はどのような生活を送られているのですか。


3年勤めた会社を28歳で辞めてから、この10年間基本的には変わっていません。好きなときに起きて、好きなことをする。
ダルいなと思ったら一日寝ていることもありますし、ゴロゴロしながら本を読んだり、散歩をしたりしてその日が終わることも多いです。
僕はそれで幸せです。

ただ最近は、文章を書く仕事なども増えてきて……。
ニート的な物言いではなくなってしまいますが、38歳になった今、僕なりの〝働き盛り〟を迎えているかもしれません(笑)。


―2015年末に新たに台東区の設けたシェアハウス「ギークハウスZERO」に住んでいらっしゃいますが、倉庫のような空間で各自がテントを張り、ゆるく集まって過ごしているとのこと。
好きなことだけをするというと1人のイメージがありますが、phaさんは誰かと繋がろうとする志向が強いですよね。


僕は人が集まっている場所がわりと好きなんですよね。
だけど、人と話すのは面倒くさい。
お互い集まっている場所で、しゃべらなくてもいい、くらいの感じが理想です。
1人で過ごすのも好きですが、そればかりなのも孤独でしんどくなる。
だからこそ、1人で何かやっていても周りになんとなく人がいるという、シェアハウスという〝場〟がちょうど心地いいですね。

―1人でいながらにして誰かと繋がっている、ということですね。
大学卒業後の2000年代半ばに就職していたころ、ブログやSNSなどのインターネット文化にハマった影響は大きいですか。


とても大きいですね。
ネット自体が、そういう空間ですから。
ツイッターを見ていても、それぞれが好きなことを独り言としてつぶやいているけれど、なんとなくそこには周囲のみんなの気配が感じられる空間になっている。
気が向いたらしゃべってもいいし、別にしゃべらなくてもいい。
そうしたネット的空間を、リアルでも構築したくてシェアハウスを運営しています。
いろんな人が遊びに来たり帰って行ったり、どんどんメンバーが入れ替わっていくのも、ツイッターのタイムラインっぽいところがありますね。



―家族は血縁関係や性的関係があるだけのシェアハウスでないか、と以前発言されていました。
和歌山県の熊野では、月に5000円だけ出して友人と家を借り、その経緯を書いた『フルサトをつくる 帰れば食うに困らない場所を持つ暮らし方【電子書籍】[ 伊藤洋志 ]』という共著も出されましたね。
故郷も通常は、血縁関係と結びついているものだと思うのですが、家族と故郷で違いはあるのでしょうか。


良好な家庭だったら何の問題もないと思うのですが、酷い家庭環境の場合に、自分から簡単に関係性を切れない、というのが家族のデメリットだと思います。
実際、子どもからしたら家族を選ぶ権利はないですしね。

 「フルサト」についても同じです。
与えられた場所ではなく自分で選んだ場所で、みんなが心地よく過ごせる場所だけど、嫌になったら去ってもいい、というフルサトをつくれたらいいなという思いから、熊野にゆるやかなコミュニティをつくっています。

もちろん、難しさもありますよ。
僕の周りにいるような〝普通〟ではない生き方をしている人は、地方ではどうしても浮きがちで……、東京だと人ごみに紛れることができるのですが。

―そうした世の中の空気を変えたいと思って活動しているのですか。


いや、特別に意識はしてないですね。
僕は自分にとって〝普通〟の生き方をしているだけなんですよね。
ただ、自分は別に普通に生きているだけなのに、社会のほうが自分にぶつかってくるんですよね。
社会から「そんな生き方はだめだ」とか言われるとか。
なので、自分の道の前にある障害物をどけていく、という作業が、僕にとっては文章を書く作業なのだと思います。

―1980年代から2000年に生まれ、モノを買わない・持たないと言われる「ミレニアム世代」も話題ですね。
phaさんより少し年下の世代ですが、共感を抱きますか。

シンパシーは感じますね。かつて「断捨離」がブームになっていたころは、まだ雰囲気として〝余裕〟があったのだと思います。
そもそもモノがいっぱいあることが〝普通〟だったからこその「断捨離」というか。
今は、それより状況が進んできている感じがしますね。
もっと時代の余裕がなくなってきているなかで、どう余裕を見つけるか。

僕としてはモノなんか持たなくても、自分の内面を耕して想像力を鍛えるほうが、豊かに暮らせると考えています。
そのための時間のほうが大事ですね。


――しかし、単純なシンプル志向ではないですよね。
社会学の分野における碩学・見田宗介さん(『現代社会の理論 [ 見田宗介 ]』『宮沢賢治 存在の祭りのなかへ』などの著作で知られる)を愛読しているのも興味深いです。


そうですね、社会の仕組みとか成り立ちとかややこしいことを考えるのは好きです。見田宗介さんは、すごく理屈っぽいと同時に、非常にポジティブで、前向きで、ロマンチスト。
そこに惹かれます。
この現代社会の中で、「自由に楽しく生きるにはどうしたらいいか」という、根本的で地に足の着いた問いを追求し続けているところが魅力ですね。


―なるほど。そのポジティブさを受け継ぎながら、これからどういった展望を抱いていますか。


 今、自分の周りに自分より若いニートなどが集まっているので、そういう人たちを家に住ませたり、バイトを紹介したりしています。
それで、今住んでいるシェアハウスみたいなものを近所にたくさん作って、この台東区の中に自分たちの擬似的な〝街〟をつくっていけたらいいなと思っています。
シェアハウスでも店でも会社でも何でもいいんですが。

このあたりは古くから商人や職人が集まっていて、今でも自営業者の人も多い土地ですから、「会社に勤めて家庭をつくるのが普通」といったライフスタイルの圧力が少ないと感じます。
平日からフラフラしていても、あまり怪しく見られない感じがするし(笑)。
この場所で、自分たちなりの〝街〟をつくっていきたいな、と考えています。

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